子宮蓄膿症は、犬や猫の中高齢の未避妊のメスに見られる子宮に膿が貯留する生殖器疾患です。
症状としては、多飲多尿や腹囲膨満、食欲不振などを認め、陰部から膿が排泄されている場合もあります。
命を落とす可能性もあり、緊急性を伴う病気ですので、早期の診断と対処が重要となるでしょう。
今回は当院でも多くの症例がある、犬・猫の子宮蓄膿症の症状・診断・治療について解説していきます。
犬・猫の子宮蓄膿症の症状
犬・猫の子宮蓄膿症で、見られる症状としては以下の通りです。
■子宮蓄膿症の症状
・食欲不振
・多飲多尿
・腹囲膨満
・嘔吐
・外陰部の腫脹
・陰部からの膿の排出(排出されない場合もある)
診察においては、飼い主さんが膿を血尿、血便と間違えて認識している場合もあります。
そのため、しっかりとした問診や身体検査が必要となります。
犬・猫の子宮蓄膿症の診断
子宮蓄膿症の診断は、以下の検査により実施していきます。
■子宮蓄膿症の診断
・血液検査
・レントゲン検査
・エコー検査
子宮蓄膿症は、感染性の疾患のため血液検査では、白血球の増加が認められます。
また、CRP(C反応性タンパク質)も上昇することが多いと言えます。
エコー検査やレントゲン検査では、子宮の状態を確認し、子宮の中に膿がどのくらい貯留しているのか、膿が腹腔内に漏れ出ていないかを判断していきます。
犬・猫の子宮蓄膿症の治療・予防
犬と猫の子宮蓄膿症の治療方法は、主に以下のような治療が考えられます。
■子宮蓄膿症の治療方法
・卵巣子宮摘出術(外科手術)
・内科的治療
子宮蓄膿症の治療の第一選択は、手術により卵巣と子宮を摘出することです。
感染源となる子宮を取り除くので、治療効果は高く2〜3日の術後の入院で退院できることもあります。
しかし、術後に急変が起こる可能性もあるので注意が必要です。
内科的治療は、手術が行えないほど状態が悪い症例や繁殖をさせたい症例などの治療として用いられます。
ホルモン剤やプロスタグランジン製剤を投与することによって、状態の改善を待ちますが、外科手術と比較すると治療効果は低いと言えます。
また子宮蓄膿症は、避妊手術を行うことにより、予防ができます。
避妊手術に迷われている飼い主さんには、こうした病気を予防できることも避妊手術の大きなメリットになりますので、ぜひ伝えてあげましょう。
犬と猫の子宮蓄膿症の違い
犬と猫の子宮蓄膿症の症状の違いとして犬の場合は、ほとんどの症例は中高齢(6歳以上)の未避妊のメスで見られ、陰部からの膿の排泄が認められないこともあります。
しかし猫の場合は、若齢でも発症することがあり、ほとんどの症例で子宮頸管が開いているため、陰部からの膿の排泄が認められます。
内科的治療でも治癒する場合があると言われていますが、命を落とす可能性が高い状態のため、外科手術を行うことが望ましいと言えます。
まとめ
犬と猫の子宮蓄膿症は、命を落とす可能性もある病気であり、緊急手術になることも多くあります。
本記事で紹介した子宮蓄膿症の症状や診断、治療方法を理解し、子宮蓄膿症の症例で来院があった場合には、早急に対処することが大切です。
また、子宮蓄膿症は、避妊手術で予防ができる病気ですので、避妊手術を検討している患者さんには、獣医師としてしっかりと効果を伝えることが重要です。
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