犬と猫の橈尺骨骨折は、前腕にある橈骨と尺骨に骨折が起こっている状態です。
放置すると、足の変形につながってしまい歩行異常が症状として現れてしまうため、早期に治療を行う必要があります。
本記事では、犬と猫の橈尺骨骨折について原因や症状、診断方法、治療法を詳しく解説します。
犬と猫の橈尺骨骨折の原因
橈尺骨骨折は、主に落下や転落などの衝撃により起こるケースが多く見られます。
家庭内での事故が原因で起こることも多く、特に小型犬や超小型犬、子犬、子猫など若齢で骨が細い子に多く認められます。
放置しているとズレが生じる場合があったり、治療しても癒合不全を起こしたりするため、診断、治療に注意が必要な病気です。
犬と猫の橈尺骨骨折の症状
症状は、患肢の挙上が認められます。また、痛みを感じていることがほとんどです。
触診などで、患部に触れると、痛がる様子が観察されます。
犬と猫の橈尺骨骨折の診断方法
犬と猫の橈尺骨骨折の診断方法は、レントゲン検査にて行います。
患肢のレントゲンでは、橈骨または尺骨の骨折を確認することが必要です。
若い動物の場合、成長板と骨端部の位置が近いため、成長板が傷ついているかどうかも丁寧に確認する必要があります。
通常、橈骨と尺骨の両方が折れていることが多いものの、場合によってはどちらか一方のみが折れていることもあります。
骨折の程度と骨のズレ具合を見て、ギプスで固定するか外科治療を行うかの治療方針を決めなければいけません。
犬と猫の橈尺骨骨折の治療方法
橈尺骨骨折の治療方法は以下の2つが考えられます。
・外固定
・外科療法(内固定)
それぞれについて解説していきます。
外固定
外固定では、ギプスを用いて骨折した骨がこれ以上ズレないように固定します。
骨折の程度が小さく、自力での癒合が期待できる場合に適応される治療です。
しかし、犬や猫などの動物は安静にすることが難しく、ギプスを齧って誤飲するなどのトラブルも発生するため、外固定での治療はなかなか難しいと考えられます。
外科療法
外科療法では、プレートを用いた固定や創外固定が行われます。
骨を内部または、外部からしっかりと固定できるため、外固定に比べて治癒率は高いと言えます。
しかし、プレートやスクリューの破損や感染症などの合併症の危険性があるため、手術は慎重に行わなければいけません。
順調にいけば、1〜3ヶ月ほどで骨が癒合し、スクリューやピンを抜去すると治療終了です。
まとめ
本記事では、犬と猫の橈尺骨骨折について原因や症状、診断、治療方法を詳しく解説しました。
橈尺骨骨折は、小型犬や子犬、子猫に起こりやすい骨折であるのに加え、しっかりと治療を行わないと将来の骨の成長に影響することもあり、骨のズレや歩行異常につながります。
外科手術を行っても、骨の癒合状態を見るために、頻回の通院が必要です。
正しい治療方法を理解し、適切に治療を行えるようにしたうえで、飼い主さんには足をつけられない、足を痛がっているなどの様子が見られたらすぐに受診するよう、お伝えしていきましょう。
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SMALL ANIMAL SURGERY 第3版 p1187