犬の悪性黒色腫(メラノーマ)│症状は?診断・治療方法と予後について解説

2023年08月10日 | 腫瘍科

犬の悪性黒色腫は、口腔内でよく見られる腫瘍であり、高い悪性度が特徴です。
悪性黒色腫はさまざまな臓器に転移することがあるため、注意が必要です。
本記事では、犬の悪性黒色腫の症状、診断・治療方法について解説していきます。

犬の悪性黒色腫の概要


犬の悪性黒色腫は、メラノーマとも呼ばれ、体中の至る所に発生します
黒色の外観が特徴で、特に口腔内に発生する頻度が高く、犬の口腔内悪性腫瘍の代表例です

眼球や爪付近にも発生することがあるため、飼い主さんは、日頃から愛犬の体を注意深く観察する必要があります。

犬の悪性黒色腫の症状


犬の悪性黒色腫は、初期段階では無症状であり、一見小さな「ほくろ」と勘違いされ見逃されることもあります

症状が進行し腫瘍が大きくなると、腫瘍の一部に潰瘍ができたり、出血したりします。口の中にできた場合には、呼吸困難や摂食障害の原因となることもあります。

犬の悪性黒色腫の診断方法


悪性黒色腫を診断するためには、切除生検が必要です。
外科手術によって切り取った組織を使って確定診断をしていきます。腫瘍に針を刺して、診断する細胞診も行えますが、あくまで補助的な診断方法です。確定診断するためには、麻酔をかけた外科手術が必要になるでしょう。

犬の悪性黒色腫の治療方法


悪性黒色腫の治療方法は、以下の通りです。

・外科手術
・抗がん剤治療
・放射線療法
・免疫療法

中でも外科手術は悪性黒色腫の治療方法において、第一選択の治療方法となります。
外科治療のほか、抗がん剤治療や放射線療法を併用することがあります。

悪性黒色腫に罹患してから時間がたつと、肺などの臓器に転移してしまうため、なるべく早期に発見し治療をスタートしなければなりません

犬の悪性黒色腫の予後


悪性黒色腫の予後は腫瘍の悪性度や転移の有無によるため、必ずしも完治するとは言えません。悪性度が低い場合には、外科手術や抗がん剤などの治療を行うことで、数年単位で生存が期待できます
しかし、悪性度が高い場合には、積極的な治療を行っても、数ヶ月でなくなってしまう場合があります

犬の悪性黒色腫の予防方法


犬の悪性黒色腫は、原因がはっきりしていないため予防することは困難です
体表や口腔内、爪などにできることが多い腫瘍であるため、飼い主さんには日頃から愛犬の体を注意深くチェックするように伝えましょう。
何か異変を見つけた際には、すぐに動物病院での受診を勧めてください。

まとめ


本記事では、犬の悪性黒色腫の症状や診断・治療方法について解説しました。
犬の悪性黒色腫は口腔内を含めて、体の至る所にできる可能性がある腫瘍です。放置すると転移したり、重症化したりして命を落とす可能性もあるため、早期の治療が必要です。
飼い主さんはに、日頃から愛犬の様子を確認してもらい、獣医師として病気を早期に発見し、治療を開始できるように努めましょう。

くじら動物病院はともに働く仲間を募集しています!


当院では飼い主様から必要とされ続ける動物病院になるべく、ともに「誠実な医療」を目指すことができる仲間を募集しています。経験豊富な中途獣医師・動物看護師・トリマーはもちろん、新卒者を含む経験の浅い若手を育成する体制も整っていますので、少しでも興味がある方は以下の応募フォームからご応募ください。

獣医師・動物看護師・トリマーのエントリーはこちらから
当院の診療科目についてはこちら

愛知県岡崎市・豊橋市・一宮市で圧倒的な臨床件数
手厚い福利厚生とキャリアアップ支援も充実の動物病院
くじら動物病院グループ

〈参考文献〉
獣医内科学 第2版 p193