犬の前立腺膿瘍は、前立腺に細菌が感染し膿が溜まる疾患で、特に未去勢の中高齢のオス犬に多く見られます。溜まった膿によって前立腺が破裂し、犬の腹部内で細菌が広がると非常に危険な状態に陥ります。特に、未去勢のオスの犬で見られる前立腺肥大は、前立腺膿瘍の原因の一つとされており、予防としては去勢手術が効果的です。
本記事では、犬や猫の前立腺膿瘍について解説し、治療や予防法についてもお伝えします。
原因
未去勢のオス犬では加齢に伴い前立腺肥大が起こりやすく、肥大した前立腺では前立腺液の流れが悪くなり、結果的に嚢胞が形成されやすくなります。この前立腺嚢胞が感染を引き起こすことで前立腺膿瘍が発生します。そのため、中高齢の去勢していないオス犬はこの病気のリスクが高まります。
また、前立腺膿瘍は細菌性の精巣炎を引き起こすこともあり、膿瘍が破裂すると腹膜炎や敗血症を起こし、危険な状態に陥ります。
症状
膿尿(クリーム色の膿がまざったおしっこが出る)や血尿が見られ、これは細菌性膀胱炎といった尿路感染症を繰り返し起こすことも特徴的です。
また、前立腺が腸を圧迫すると排便障害が、尿道を圧迫すると排尿障害が生じることがあります。しかし、明確な症状が見られないこともあります。
腹膜炎や敗血症が発生している場合、犬はぐったりとし、意識を失うこともあり、これらは緊急を要する症状です。
診断方法
直腸検査(肛門から指を入れて触診する検査)により前立腺の大きさや異常を確認し、尿検査で細菌の有無を検出します。
その後、レントゲンや超音波検査を用いて前立腺の大きさを確認し、超音波ガイド下で前立腺に針を刺し、膿を確認できれば前立腺膿瘍と診断します。
治療方法
初期に発見することが難しく、発見時にはすでに重症化していることも多いため、発見したらすぐに治療する必要があります。
まず去勢手術を行い、その後抗菌剤による内科的治療を行います。
また、超音波ガイド下で膿を吸引します。
それでも症状が改善しない場合、あるいは膿瘍がすでに破裂している場合は、外科手術で治療を行います。外科手術では、前立腺の内部を洗浄し、必要に応じて部分的に切除し、大網という膜で包む大網ドレナージを行います。
予防
前立腺膿瘍は初期の発見が困難で、症状が現れてからでは治療が困難な場合もあるため、予防が非常に重要です。子供を望まない場合は、若くて健康なうちに去勢手術を行うことを推奨します。
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