猫の巨大結腸症について|重度の便秘が主な原因

2023年10月18日 | 消化器科

獣医師を目指す皆さんへ。今回は猫の巨大結腸症について詳しく解説します。
巨大結腸症は猫において比較的多く見られ、結腸が異常に拡大し機能が低下することで重度の便秘を引き起こします

犬には珍しい病気ですが猫では見過ごされがちな一方で、重大な健康リスクを伴います。長期間放置すると食欲不振、脱水、嘔吐などを引き起こし、最悪の場合、腸が破れて急性ショック症状を起こすこともあります。

本記事では、猫の巨大結腸症について解説し、治療や予防方法についてもお伝えします。

原因


巨大結腸症の原因は様々ですが、多くは後天的なものです。慢性便秘が原因で結腸が伸び続けることにより、運動機能が低下し、結果として機能が戻らなくなることがあります。

猫では、便が留まる理由が明確ではないことが多いものの、骨盤の形態異常や骨折、腫瘍、神経障害、薬剤の影響、不適切な飼育環境などが原因となることが考えられます。

症状


この病気の主な症状は重度の便秘です。具体的には、何度もトイレに行き排便しようとするものの便が出なかったり、出たとしても硬い少量の便だったり、粘液しか出なかったりします。

また、便秘が続くと嘔吐、食欲不振、体重減少といった症状も見られるようになり、下腹部に触ると硬い便を感じることもあります。

診断方法


直腸検査では、肛門から指を入れ、肛門近くの便の有無を確認します。
レントゲン検査では、拡張した結腸とそこに溜まっている便を視覚的に確認できます。

巨大結腸症の診断には原因を特定することも重要ですので、血液検査や超音波検査を含めた総合的な診断が求められます。

治療方法


慢性的な便秘が原因の場合は、便秘の治療から始めます。
便を柔らかくする薬や、滑りを良くする薬を内服します。同時に食事療法や点滴療法を行うこともあります。
どうしても便が出ない場合は、浣腸や摘便(手で便を取り除く)といった処置が行われます。

これらの処置を行っても症状が改善されない場合、または再発を繰り返す場合、結腸の運動機能が戻る見込みがない場合は、外科手術を検討します。

予防


便秘は巨大結腸症の症状でありながら、同時に原因ともなり得ます。このため、便秘を放置しないことが予防に繋がります。
また、交通事故や落下による骨盤骨折が原因となることもあるため、室内飼いを徹底することも予防に繋がるでしょう。

獣医師としては、猫の便の状態を常に観察し、異常が見られた場合には迅速に対応することが重要です。
この病気の理解を深め、猫たちの健康を守るための適切な治療法の提供に努めることが求められます。

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