犬と猫の耳血腫について┃耳が膨れあがってしまう

2023年12月26日 | 軟部外科

耳血腫は、犬や猫の耳介(外耳)の軟骨と皮膚の間に血液が溜まる状態で、耳が腫れて固めの水風船のような感触で、熱を持つという特徴があります。薬物療法と血液の排出を行っても再発することが多く、手術が必要な状況も珍しくないです。

本記事では、犬や猫の耳血腫について解説し、治療に必要な内科治療や外科治療についてもお伝えします。

原因


耳血腫の原因は多岐にわたりますが、主に耳を何度も掻いたり、床にこすり付けたり、振ったりすることによる刺激が挙げられます。この刺激によって耳介軟骨と皮膚の間にある血管が破れ、血液が溜まることで耳血腫が発生します。
このため、外耳炎を併発することもよくあります

また犬や猫同士のケンカで、けがをすることが原因となることもあります。

症状


耳血腫の症状は、耳介の腫れとそれに伴う痛みや違和感です。この状態は犬や猫にとって不快であるため、耳を掻いたり振ったりする行動をします。触られることを嫌がることも一般的です。

外耳炎が併発している場合は、耳垢が増え、耳が臭うなどの症状も見られることがあります。

診断方法


耳血腫の診断は、主に視診と触診によって行われます。症状が特徴的であるため、見た目と感触でほとんど判断できますが、外耳炎など耳の病気を伴っていることが多いため、耳鏡を用いた耳道の観察や耳垢の検査も行います。

また、腫れている部分に針を刺して、溜まっている液体を確認します。

治療方法


耳血腫の治療には内科治療外科治療の両方があります。
軽度の場合は内科治療として、耳介に溜まった液体を抜き、抗菌剤やステロイドを用いた治療を行います。ほとんどの場合、液体が再び溜まるため何度も液体を抜く処置を行う必要があります。
外耳炎など他の耳の病気が併発している場合は、それらの治療も同時に行います。

重度の場合や内科治療に反応しない場合は、外科治療が選択されます。手術では耳介に切り込みを入れて液体を排出し、腫れた耳介を縫合し膨らまないようにします。場合によっては、排液のためにドレーンを設置します。

手術は全身麻酔のリスクが伴いますが、再発リスクが低く、繰り返しの液体抜きが不要になる利点があります。

予防


外耳炎などの耳の病気が原因で耳血腫になることがあるため早期治療や、定期的な耳のケアが重要です。
また、猫の場合は外に出さないようにすることで、他の動物とのケンカによる傷を防ぐことができます。

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