大腿骨頭骨折は、主に1歳以下の小型犬に見られる疾患で、股関節にある、股関節の大腿骨頭(太ももの骨の先端)と寛骨臼(お椀状の凹み)に影響を及ぼします。大腿骨頭は成長期における骨の発達に重要であり、この部位の弱さが骨折の原因となります。また、レッグ・カルベ・ペルテス病との関連があり、治療には手術が必要です。
本記事では、犬の大腿骨頭骨折について解説し、治療に必要な外科治療についてもお伝えします。
原因
大腿骨頭骨折の原因は、外部からの強い力(例:交通事故、落下、圧迫)が加わった場合でも起こりますが、多くはレッグ・カルベ・ペルテス病に関連して発生します。この病気は、大腿骨頭への血流不足により骨が弱まり、最終的には骨折を引き起こします。
症状
骨折した股関節に痛みが生じ、犬は足を引きずったり、骨折した側の足を使わずに歩いたり、または歩行を拒むなどの症状が見られます。
そして、使わなくなった足は筋肉が衰えるため、痩せて細くなることが特徴です。
診断方法
主にレントゲン検査により診断されますが、症状が似ている股関節形成不全や他の骨折との鑑別、レッグ・カルベ・ペルテス病に関連しているかどうかの判断が重要です。
また、必要に応じてCT検査も行われます。
治療方法
治療は、痛みを軽減するために大腿骨頭とその近くの骨を切除する手術(大腿骨頭骨頚部切除)が主です。この切除により痛みが軽減され、線維性の偽関節が形成され、正常な歩行が可能となります。
手術後には、筋力回復と正常な歩行を取り戻すためにリハビリテーションを行います。特に筋肉が大幅に落ちた場合、完全な回復には時間がかかる可能性もあります。
また、体重20kg以上の大型犬で大腿骨頭骨頚部切除だけでは不十分だった場合、人工関節を検討することもあります。
予防
落下や交通事故などの外部からの衝撃により骨折をしやすいため、安全な環境作りが重要です。また、過度な運動は骨に負担をかける可能性があるため、特に成長期の犬には適度な運動を促すことが重要です。
さらに、レッグ・カルベ・ペルテス病が原因で骨折が起こることも多いので、小型犬の場合は年齢がまだ若くても歩き方には注意してみてあげてください。
そして何か異変がみられたらすぐに動物病院を受診しましょう。
整形疾患については以下のページでも解説しています
◼️犬と猫の橈尺骨骨折について
◼️犬の膝蓋骨脱臼について
◼️犬と猫の前十字靭帯断裂
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