犬の鼠径ヘルニアついて│触診と画像検査で正確な診断を行う

2023年04月04日 | 軟部外科

犬の鼠径ヘルニアは、足の付け根の股の部分にヘルニア孔が形成されて、膀胱や消化管などの腹腔内の臓器が脱出している状態です。
進行すると、病変部に痛みや炎症が起きる可能性もあるので、注意が必要です。

今回は、当院でも頻繁に遭遇する症例である、犬の鼠径ヘルニアの症状、診断方法、治療方法について解説していきます。

犬の鼠径ヘルニアとは


犬の鼠径ヘルニアは、足の付け根の隙間である鼠経部から腹腔内の臓器が脱出している状態のことです
原因としては、先天的なものであったり、交通事故などの強い衝撃でヘルニア孔が開いてしまったりすることがあります。

また、雌犬の場合には、発情と共に鼠径ヘルニアが悪化する場合もあるので不妊手術がおすすめです。

犬の鼠径ヘルニアの症状


犬の鼠径ヘルニアの症状は、ヘルニア孔の大きさや脱出する臓器、嵌頓(かんとん)の有無によってさまざまですが、足の付け根にヘルニアによる膨らみを認めるケースが多く見られます

軽度であれば、お腹の中の脂肪が脱出しており、押すと腹腔内に戻ります。

症状としては、無症状であることが多いと言えます。

重度の場合、お腹の中の消化管や膀胱が脱出してしまったり、押してもヘルニア内容物が腹腔内に戻らず、臓器が壊死してしまったりして痛みや炎症を伴うこともあります。

犬の鼠径ヘルニアの診断方法


犬の鼠径ヘルニアの診断方法は、触診とレントゲン検査、超音波検査などの画像検査を用いて行います

触診では、ヘルニア内容物が押すと腹腔内に戻っていくかどうかを確認し、画像検査を使用してヘルニア内容物が消化管、膀胱などの臓器から脱出していないか判断していきます。

犬の鼠径ヘルニアの治療方法


犬の鼠径ヘルニアの治療方法としては、症状が軽く、ヘルニアも小さければ経過観察することも多いと言えます。

しかし、成長や肥満、妊娠によって鼠径ヘルニアが悪化することもあるので、早めに手術を行ってあげた方が良いでしょう
また、雌犬の場合には、発情と共に鼠径ヘルニアが悪化する場合もあります。

そのため、先天的な鼠径ヘルニアを認めた場合には、若齢の去勢避妊手術と同じタイミングで整復手術を行ってあげると良いでしょう
犬の鼠径ヘルニアは、手術後に再発することも多いので、術後の経過観察に注意が必要です。

まとめ


今回は、犬の鼠径ヘルニアの症状、診断方法、治療方法などについて解説してきました。

犬の鼠径ヘルニアは、先天的にも発症している場合がありますので、若齢犬や去勢避妊手術前の触診は注意して行ってあげる必要があります。

また、鼠径ヘルニアは無症状ならば緊急性はなく経過観察することもありますが、放置していると悪化することも多い病気です。

なるべく早期に発見し治療してあげるようにしましょう。

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